
「株式はインフレに強い」とよく言われますが、本当にそうなのでしょうか。
昨今のトランプ関税の影響で大きく下がったと思えば、S&P500が破竹の9連騰を記録するなど目まぐるしく変化するのを見ると、ほんとにインフレに強いのか?疑いたくもなりますし、実際わたくしも疑っております。。。
そこで今回は、実際に日本で物価上昇が続いた2022年1月~2025年5月を対象に、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)へ毎月1万円積み立てた場合をシミュレーションしてみました。
結果、この期間ではS&P500の積立評価額が物価上昇を大きく上回り、現金をそのまま保有した場合は購買力が低下していたことがわかりました。
つまり、今回の検証期間では、S&P500への積立投資は物価上昇を上回る結果となりました。(よかった~)
ただし、「今回S&P500がインフレを上回った=株式なら必ずインフレに勝てる」という意味ではないのでご注意を!
今回はあくまで直近約3年間の実データを使った一例として検証します。
本レポートがみなさまのインデックス投資ホールド力UPの一助になれば幸いです。
前提条件
比較検証するにあたり、前提条件をしっかり整えることが大事。下記の条件を設定したいと思います。
確認期間:2022年1月~2025年5月
対象商品:eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
計算対象:月初の基準価額
積立額 :毎月1万円
物価変動:各年平均を採用
各々の比較検証の考え方については、セッションごとに解説いたします。
純粋な金額比較
比較イメージは下記の通りです。

評価額:当月の基準価格と積立額から購入数量を算出。前月分の購入数量と合計し基準価額を乗算する
物 価:前月からの物価上昇分を算出し、前月分と積立額の合算で当月を算出
積立額:前月までの積立額に積立額を加算する。
結果はこちら。

※引用:https://ecodb.net/country/JP/imf_inflation.html(インフレ率)
※引用:https://fs.bk.mufg.jp/webasp/mufg/fund/detail/chart/m00355320.html(基準価額)
追加情報として、日本におけるインフレ率を右軸基準に追加いたしました。ここ三年間くらいは毎年2%以上インフレしていたんですね。
グラフについては単純な金額差ですと少し見づらい表現となりましたが、今回検証した2022年1月~2025年5月という期間では、S&P500への積立投資の評価額は日本の物価上昇を上回っていることがわかります。
また、少しわかりやすいように積立額との差分値もグラフ化してみましたので、共有させていただきます。

こちらを見ますと開始時期付近では物価と株式評価額は競り合っている状況でしたが、2023年から株式が突き放す形で上昇していたようです。
「実質的な価値」で比べると?
比較イメージは下記の通りです。

ここまでは金額そのものを比較しました。
次は少し見方を変えて、物価上昇によって「お金の価値が下がった分」を考慮して比較してみます。
例えば3年前に1万円で買えたものが、現在1万500円必要になったとすれば、現金1万円の実質的な購買力は下がっています。
そこで、現金をそのまま積み立てた場合とS&P500へ積み立てた場合について、物価上昇を考慮した実質的な価値を比較します。
評価額:当月の基準価格と積立額から購入数量を算出。前月分の評価額にインフレ割引率を乗算し当月と合算したものを物価で除算した差分
物 価:当月物価にインフレ割引率を乗算し積立額で除算した差分
積立額:前月までの積立額にインフレ割引率を乗算した額と当月積立額を合算した後物価で除算した差分
インフレ率を除いた物価に対して、インフレ率分控除した積立額と評価額を算定します。こうすることによって、モノの価値に対してどれほど乖離が出ているのかが割合で分かるようになります。
結果はこちら。

2023年、2024年とS&P500が絶好調だったということもあり、物価に対して最大40%強上振れしていたことがわかりました。逆に現金をただ単に積み上げた結果、約4.5%ほど下振れた結果となりました。
ただ、今回S&P500の評価額が物価上昇を大きく上回った理由には、インフレへの耐性だけでなく、2023~2024年の米国株上昇の影響も大きいと考えられます。
また、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は米国株へ投資する円建て投資信託なので、為替変動の影響も受けます。
※なお「日本で生活する人が円でeMAXIS Slim 米国株式を積み立てたらどうだったか」を検証する目的のため、為替影響を除外していません。
そのため今回の結果は、実際に日本でインフレが進んだこの期間ではどうだったかを確認した結果として捉えるのが適切だと考えています。
まとめ
今回は「株式はインフレに強い」が直近のデータからも当てはまるのか検証してみました。
今回の検証だけで株式が必ずインフレに勝てるとは言えませんが、現金だけを長期間保有することにも、インフレによって購買力が低下するリスクがあることを確認できました。
株式相場は時に荒れることもあり「本当にこのまま積み立てて大丈夫か?」と思うこともありますが、今回自分でデータを確認したことで、少なくとも私自身のホールド力は少し上がりました(笑)。
わたくしは今後も生活に必要な現金は確保しつつ、余剰資金についてはこれまで通りインデックス投資を継続していくつもりです。
素人分析ではありますが、みなさまの握力アップにつながれば幸いです。